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食品工場で虫の捕獲数が増えたり異物混入が発生したりした時、原因が特定できなければ適切な対策はとれません。

そこで役立つのが、製造現場で使われる「4M変化点管理」という考え方です。防虫管理に取り入れることで、原因の絞り込みや再発防止がしやすくなるだけでなく、問題を未然に防ぐ仕組みを作ることができます。

結論:

  • 4M変化点で問題発生時の原因究明がしやすい
  • 4M+3Hの視点でリスクを知り、予防管理型の防虫対策を構築する
  • 清掃や設備改良など根本的な対策だけでなく、捕獲や殺虫といった方法も組み合わせて予防する

4M変化点管理を防虫管理に活用するメリット

虫の問題が発生した際、4Mのどこかに変化がなかったかを確認することで、原因の候補を素早く絞り込めます。

また変化が起きる前にリスクを想定しておくことで、問題が起きてから慌てる「事後対応」から、変化を管理して問題を防ぐ「予防管理」へと切り替えることができます。

4M+3Hで予防管理型の防虫対策

「事後対応ではなく予防」を目指す時も、4M変化点管理+3Hの視点は欠かせません。

予防のためには問題がいつ・どこで発生するを把握しておく必要があり、4M+3Hで浮かび上がるのは、まさにそのタイミングと場所だからです。

4M変化点管理とは

4M変化点管理とは、製造現場で発生するさまざまな変化を管理する手法です。

  • MAN(人)
  • MACHINE(設備・機械)
  • MATERIAL(原材料・資材)
  • METHOD(作業方法)

これら4つの要素に変化が発生した場合、品質や安全性に影響が出る可能性があります。

HACCPに取り組む食品工場では、「最近何か変わったことはなかったか」という視点で4Mを意識している場合も少なくありません。

防虫管理においてもこの考え方は有効で、問題発生の原因を絞り込みやすくなります。

4Mと3Hを組み合わせる

問題の予防には、もう一つのフレームワーク「3H」を組み合わせると効果的です。

3Hとは

次の3つの言葉の頭文字をとったもので、製造現場ではミスやトラブルが起きやすい状況として知られています。

  • Hahimete(初めて)
  • Henkou(変更)
  • Hisashiburi(久しぶり)

初めて行う作業や変更後の作業、久しぶりの作業では、人為的なミスや確認漏れが起こりやすいとされています。

3HはMANに限らずどの要素にも当てはまりますが、防虫管理では特にMAN(人)への影響が大きくなりやすい点に注意が必要です。

設備や原料と違い、清掃やドアの開閉管理は人間の注意力に直接左右されるため、「初めて・変更・久しぶり」のタイミングでミスが起きると虫の問題に直結しやすいためです。

3Hに当てはまる人は製造などメイン業務のことに意識が集中し、防虫視点までは気が回らないかもしれません。

だからこそ、それを見越した仕組みやフォローが重要です。

虫の問題が起きる主な要因

では実際に、食品工場で虫の問題が発生する原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

虫の捕獲増加や異物混入が発生する原因は、大きく内的要因と外的要因に分けられます。

内的要因

  • 清掃不足による内部発生
  • 穴や隙間からの外部侵入

工場内の管理状態によって発生する問題です。

外的要因

  • 季節や天候による自然環境中の虫の増加
  • 近隣工場や周辺環境での大発生による侵入増加

これらは工場だけではコントロールしにくい要因です。

4M変化点管理は主に内的要因の管理と予防に有効です。

 

似たような言葉に「内部発生・外部侵入」(虫が内部で発生しているのか、外から入ってきているのか)があります。

「内部発生・外部侵入」は虫がどこから来たかという視点です。一方で「内的要因・外的要因」は、なぜその問題が起きたかという原因の視点です。

関連記事:食品工場の防虫対策入門|「内部発生」と「外部侵入」

4M各要素のリスクと予防策

4Mの要素と変化点 起こりうる問題(リスク) 予防策(事前のアクション)
MAN(人)
・現場担当者の変更
  • 残渣が溜まりやすい箇所の清掃不足による内部発生の増加
  • ドアの開閉管理不足による外部侵入の増加
  • 防虫メッシュの清掃不良で給気が不足し、工場内の陰圧(外気を吸い込む状態)が強くなってドアの隙間等から外部侵入が増加
  • 重要な清掃ポイントを確実に引き継ぐ
  • 現場に清掃箇所や手順を掲示する
  • 「なぜその清掃が必要なのか」を教育する
  • 防虫意識向上のための講習会やワークショップを実施する
MACHINE(設備)①
・製造設備の導入・変更
・中古設備の導入や再稼働
  • 長期間使用されていなかった機械内部にカビが生え、チャタテムシが増加していた
  • 閉鎖した工場から設備を移設した際、棲みついていたゴキブリも持ち込まれてしまう
  • モーター部などにアクセスしにくくなり、コバエの発生場所になった
  • 導入前に徹底した清掃を行う
  • 古い設備の持ち込み・再稼働時には殺虫処理や生息調査を実施する
  • 新しい機械に死角になる箇所がないかチェックしておく
MACHINE(設備)②
・工場設備(インフラ)の変更
・増築や改修工事
  • 新設した換気設備に防虫メッシュが設置されておらず、外部侵入が増加
  • 工事に伴い新たな隙間が発生し、ネズミが侵入した
  • 防虫メッシュ設置を事前計画に組み込む
  • 必要に応じて捕虫器を増設する
  • 工事完了後に防虫点検を実施する
MATERIAL(原材料・資材)
・季節による原料変更
(※特に青果物など)
  • 野菜や果物に付着した虫の持ち込み
  • 状態が悪いサツマイモでショウジョウバエが増殖
  • 原料受入時の確認を強化する
  • 捕虫器によるモニタリングを強化する
  • 原料エリアのゾーニングを見直す
METHOD(やり方)
・清掃方法の変更
・廃棄方法の変更
  • 清掃の機械化(床洗浄機など)による細部の清掃不足:機械が届きにくい隅や設備周辺に汚れが残り、チョウバエやノミバエなどの内部発生が増加する
  • 廃棄物の保管方法・場所の変更:廃棄物にゴキブリが寄り、廃棄物容器を工場内に戻すことによるゴキブリの侵入
  • 週1回など定期的な手作業清掃を組み込む(対象害虫の発生サイクルに合わせる)
  • 定期的な清掃後の仕上がりチェック
  • 廃棄物管理については、虫のリスクが増える変更は極力行わない
  • やむを得ない場合は、殺虫や捕獲強化を計画する

よくある質問

予防に清掃が大事なのは分かっているが、人手不足や工場の老朽化で限界がある

予防の方法は清掃のような環境的対策(根本的な対策)だけではありません。捕獲したり、殺虫剤で駆除することも予防の一つです。実現可能な方法を組み合わせて、虫の異物混入を未然に防ぐことが大切です。

関連記事:効果的な害虫対策の考え方【IPM】

設備の入れ替えでどんなリスクがあるか分からない

防虫で主に問題になるのは、清掃や点検ができるかどうかと、工事にともなう穴・隙間です。具体的には防虫業者に事前に相談してみましょう。

防虫の清掃ポイントを引継ぎする良い方法は?

写真やイラストを添えたシンプルな掲示物をラミネートして現場に貼るのが一番効果的です。複雑なマニュアルは必要ありません。引継ぎ時には必ず「ポイントはここに貼ってある」と一言添えましょう。

ポイントを押さえた掲示物を作るのが難しい

手書きでも問題ありません。現場で見える化することが重要です。当社でも作成可能です。

中古の設備を持ってくる時、どこまで清掃するべき?

目的が防虫であれば、内部に害虫が棲みついていないか確認できれば問題ありません。分解が難しい場合は、追い出し効果のある殺虫ガス(ドライ施工が可能な二酸化炭素製剤)で駆除と生息確認が可能です。

虫対策でシートシャッターを設置したら、逆に捕獲数が増えた

陰圧の工場で密閉度が高くなると、別の箇所から空気を引き込むようになり、虫の侵入は増えることがあります。給気経路を確保する必要があります。

まとめ

虫の捕獲増加や異物混入が発生した時、4M変化点管理+3Hの視点で原因究明だけでなく、予防管理にもつなげることができます。

4M変化点管理を防虫管理に取り入れる第一歩は、「最近、何か変わったことはなかったか」を習慣的に確認することです。変化に気づく意識が根付けば、問題が起きてから原因を探す手間も、異物混入のリスクも、大きく減らすことができます。

まずは自社の現場で、直近の4Mの変化を一度棚卸ししてみてください。

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4Mに関する詳細は、こちらの記事をおすすめします。

外部リンク:アドガワエレクトロニクス株式会社HP 品質不良・クレームを未然に防ぐ「変化点管理」の実践:3Hと4Mを軸とした品質保証体系

ヒューマンエラーを防ぐ仕組み作りと、事後対応ではなく予防措置の重要さを、熱く解説しています。

防虫だけでなく、製造・品質管理などのメイン業務に役立つと思います。