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飲食店で増えるイメージがあるチャバネゴキブリは、一戸建てやアパート・マンションなど一般住宅でも問題になることがあります。

ご自宅のゴキブリは自分で駆除しようとするケースが多いですが、チャバネゴキブリはプロでも防除が難しい害虫のため、攻め方・守り方・引き際をよく理解して臨む必要があります。

今回は、「住宅でチャバネゴキブリを見た・増えている」という状況で、どのように対策を進めていくのがよいか解説します。

【結論】住宅のチャバネゴキブリ根絶が難しい理由と対策

  • わずかな隙間に定着する:発見が難しく、殺虫剤も届きにくい
  • 市販品が効きにくい:繁殖スピードが速く、薬剤抵抗性を持つ個体群もいる
  • 根絶の鍵:超遅効性のブロフラニリド製剤を使用し、巣に殺虫成分を持ち帰らせる

チャバネゴキブリとは

チャバネゴキブリ成虫

出典:日本ペストコントロール協会

チャバネゴキブリ幼虫

出典:日本ペストコントロール協会

チャバネゴキブリは、成虫の体長が1~1.5cm程度の小型のゴキブリです。

クロゴキブリ(一般にイメージするいわゆるゴキブリ)の幼虫と見間違うケースがありますが、よく見ると全く似ていません。駆除業者に問い合わせする際には現物をとっておいたり、写真を撮っておきましょう。

また、チャバネゴキブリは暖かい環境を好み、住宅ではキッチンや洗面所など、温度や湿度が比較的高く、水や餌を確保しやすい場所に潜伏することがあります。

チャバネゴキブリは外から入ってくる?

チャバネゴキブリは温かい環境を好み、日本の野外では冬を越せないとされています。そのため、クロゴキブリなどと比べて屋外から住宅へ頻繁に侵入する可能性は低く、人や物によって持ち込まれ、住宅内で定着・繁殖するケースが多いと考えられます。

ただし、近隣で大量発生している場合など、夏場に屋外から侵入するケースもあります。住宅街のゴミ置場が自宅の近くにある場合なども注意が必要です。

チャバネゴキブリが住宅内で定着しているか確認するには

チャバネゴキブリが住宅内に定着しているかを判断するには、まず種類を確認し、次に幼虫やフンなどの繁殖痕跡を探します。チャバネゴキブリは夜行性なので、消灯後1時間ほどしてから台所などを確認すると見つけやすくなります。

チャバネゴキブリによく似た別の種類

ヒメチャバネゴキブリモリチャバネゴキブリなど、外観が似た野外性のゴキブリもいます。これらは住宅内で繁殖する可能性が低いため、まず見つけた個体が本当にチャバネゴキブリなのか確認しましょう。

チャバネゴキブリは飛びませんが、ヒメチャバネゴキブリやモリチャバネゴキブリは飛翔します。外観の違いはこちらで詳しく解説されています。

外部リンク:むしなびHP ヒメチャバネゴキブリ

チャバネゴキブリが営巣しやすい場所

チャバネゴキブリは、暖かく、水や餌を確保しやすい場所を好みます。

住宅では、特に次のような場所を確認してみましょう。

  • 台所のシンク台・収納棚・家電
  • 洗面所の収納スペース・鏡面裏・棚裏

キッチン収納の内部

収納引き出しのレールにチャバネゴキブリのフンや死骸

一見するとキレイなシステムキッチンでも、引き出しのレール部分や天板下、床との接地面の隙間などにフンが落ちていることがあります。

洗面所も棚の隙間などにフンの跡が見られることがあります。

大量発生が進むとこうした人気スポットからあふれたチャバネゴキブリが、壁のつなぎ目やカレンダー(紙の束には営巣しやすい)、天井裏などにも定着し始めます。

チャバネゴキブリの駆除が難しい3つの理由

次に、チャバネゴキブリ駆除の難しさを把握しておきましょう。これを踏まえて対策を考えていきます。

繁殖スピードが速い

チャバネゴキブリは繁殖スピードが速いゴキブリです。条件が整っていれば、2~3か月程度で次の世代が生まれます。そのため、根絶しないと復活してしまう可能性が高いです。私の経験でも、半年以上かけて大幅に減少させたチャバネゴキブリが、3カ月期間を開けたら最初以上の状態に増えていたことがあります。

また、卵(ゴキブリでは卵鞘と言います)には殺虫剤がほぼ効かないため、成虫・幼虫を一度駆除できたとしても、残っていた卵から孵化した幼虫がしばらくして次世代を産み始める可能性があります。

殺虫剤への抵抗性を持った個体群がいる

チャバネゴキブリの駆除を難しくする大きな要因のひとつが、殺虫剤に対する抵抗性です。

害虫駆除が高頻度で行われる繁華街のチャバネゴキブリでは、次の3種類で抵抗性を持つ個体群が増えつつあります。

  • 殺虫スプレーによく使用されるピレスロイド系
  • ベイト剤に使用されているフィプロニル
  • 業務用の液体殺虫剤に使用される有機リン系

住宅のチャバネゴキブリがどこから来たのかによりますが、「抵抗性を持っているかもしれない」という前提で進めた方がよいでしょう。詳しくは駆除業者にお任せください。

薬剤抵抗性は先天的なもの

薬剤抵抗性は、殺虫剤を使ったことで個体が後天的に強くなるのではなく、抵抗性に関係する遺伝的性質を持つ個体が生き残り、繁殖することで集団内に広がります。チャバネゴキブリは繁殖が速いため、抵抗性が問題になりやすい害虫です。

とても狭いすき間に営巣する

チャバネゴキブリは、非常に狭いすき間を潜伏場所として利用します。家具や設備のわずかな隙間や裏、家電製品の内部などです。

そのため、次の2点の問題が生じます。

  1. 営巣場所を特定するのが難しい
  2. ゴキブリが潜んでいる場所まで薬剤が到達しにくい

1.営巣場所を特定するのが難しい

狭い場所や設備の構造的に内部を見ることができない場所では、豊富な経験がなければどんな所に潜んでいるのか目星をつけることさえ難しいです。「こんな所に空間があったのか」と後で分かるケースは珍しくありません。

営巣場所が分からなければ、効果的な駆除施工は難しくなります。

2.ゴキブリが潜んでいる場所まで薬剤が到達しにくい

缶タイプくん煙剤を使用しても、チャバネゴキブリが潜んでいるすき間の奥まで十分に煙が入り込まないことがあります。液体殺虫剤の散布やエアゾールスプレーの噴霧も難しい場合があります。

営巣しているであろう場所に目星がついても、そこに対して直接攻撃することが難しいのです。

チャバネゴキブリに有効な駆除方法

上記の3つの特性を踏まえると、有効なチャバネゴキブリ駆除はこうなります。

  • 卵から孵化した幼虫含め、繁殖する前に駆除すること
  • 効く殺虫剤を使うこと
  • 狭いすき間にある巣に殺虫成分を持ち帰らせること

この3つを満たさなければ、いつまで経ってもチャバネゴキブリの根絶は難しくなります。

具体的にどうすればいいかというと、「遅効性の殺虫剤をチャバネゴキブリの通り道に散布しておき、付着した個体に巣に持ち帰らせる」という方法です。

薬剤は「ブロフラニリド」という有効成分のものを使います。次の特長があります。

  • 新系統の薬剤で、(現時点では)抵抗性を獲得されているリスクがほぼ無い
  • 超遅効性で、夜出てきたチャバネゴキブリが巣に戻る前に死なない
  • 忌避性が無く、散布した面をゴキブリが歩きやすい
  • 長期残効性で、水濡れにも強い

業務用の液体殺虫剤があり、これを棚の中などに吹き付けておくことで高い効果が期待できます。

チャバネゴキブリの活動範囲は、最も活動的なオスでも巣から数メートル程度、幼虫やメスはもっと小さいと言われており、営巣場所の近くに処置することが重要です。

※チャバネゴキブリの移動範囲など生態情報はこちら

外部リンク:鵬図商事株式会社HP ペストコントロールの基礎知識と知って得する技術ノウハウ・情報 第9回ゴキブリ

清掃の有効性

チャバネゴキブリは、清潔にしている住宅でも発生することがあります。「キレイでも出る、汚ければもっと出る」というところです。

食品ゴミなどのエサを減らすことで生息数を抑える効果はありますが、隙間に入り込んだ食品カスまで完全に除去するのは困難です。清掃は重要ですが、現在生息しているチャバネゴキブリの駆除とは分けて考えた方がよいでしょう。

市販品ではチャバネゴキブリ駆除は難しい

市販の殺虫剤でもある程度駆除は可能ですが、「減ったかな?」を繰り返しているうちに営巣範囲が広がってしまうことがあります。

チャバネゴキブリは0にしないと復活してくる可能性が高く、チャバネゴキブリ駆除は根絶を目指して行います。薬剤抵抗性を持っていない個体群だとしても、以下の理由で市販品でのチャバネゴキブリの根絶は難しいかもしれません。

ピレスロイド系エアゾール剤は奥に逃げ込まれることがある

よくあるエアゾールスプレー(ゴキジェットやキンチョール、ゴキブリがいなくなるスプレー等)の主有効成分はピレスロイド系で、速効性は高いですが忌避効果があり、殺虫しきれずに逃げた個体はさらに奥に逃げ込み、駆除が難しくなることがあります。

基本的にゴキブリ用ピレスロイド系殺虫剤は目の前の1匹を殺虫する目的で使用し、チャバネゴキブリを巣ごと駆除するのにはあまり適していません。

缶タイプのくん煙剤は煙が届きにくい・速く殺虫し過ぎる

缶タイプくん煙剤(バルサン、アースレッドなど)は広範囲に処理できますが、煙が漂うのに任せるしかなく、チャバネゴキブリが潜む狭いすき間にはなかなか入っていきません。

残効性タイプのくん煙剤(アースレッドプロαなど)は床などに付着した成分で歩いたゴキブリを殺虫できますが、チャバネゴキブリの巣の駆除にはあまり適していません。残効成分のメトキサジアゾンやプロポクスルは効くのが速く、出てきたゴキブリが巣に戻る前に死んでしまいます。

固形ベイト剤を設置しても十分に食べないことがある

ゴキブリに薬剤を食べさせて駆除する固形ベイト剤(コンバットやブラックキャップなど)が広く販売されており、手軽に使えます。

しかし、ゴキブリに限りませんが、毒餌を食べるかどうかは相手(ゴキブリなどの有害生物)が決めることであり、なかなか食べてくれないことも珍しくありません。私のご訪問先でもほとんどの現場で、すでにお客様が固形ベイト剤をたくさん置いていて、それでもチャバネゴキブリが増えています。もちろん固形ベイト剤で駆除できた例もあるのだと思いますが、限界だと思ったら早めに見限ることが必要です。

液体殺虫剤などをゴキブリが歩く面に処理した方が殺虫成分を摂取する確率は高くなりますし、そもそも食べに来る途中で殺虫成分を摂取するなら毒餌の必要性は薄くなります。

市販のブロフラニリド製剤は広範囲に使いにくい

市販品でもブロフラニリドを有効成分とするワンプッシュ型エアゾール剤やくん煙剤が出ています(ゼロノナイトなど)。効果は高いですが、値段もやや高めです。

チャバネゴキブリ駆除は「どこに」「どんな風に」処置するかが重要です。商品ラベルに書かれた使用方法のうち、「空間噴射」ではなく「すき間噴射」の方が効果的です。発生初期段階で生息数・生息場所が少なければ、これだけで自力駆除できる可能性はあります。しかし、生息範囲が広がっていれば噴射すべき「すき間」がたくさんあり、ご自身での施工だと広範囲への適切な施工は難しいかもしれません。

関連記事:ゴキブリ用おすすめ殺虫剤|駆除業者が有効成分で選ぶ市販品5選

関連記事:ゴキブリ駆除を駆除業者に頼むと何が違う?|市販殺虫剤との違いをプロが解説

駆除業者に依頼すべきタイミング

チャバネゴキブリが営巣していると分かった時点で問い合わせするのが一番です。

「まずは自力で」という場合は、ゼロノナイトのワンプッシュスプレーを使ってみて、それでもチャバネゴキブリが止まらない場合は、駆除業者に依頼した方がよいと思います。

個人的には、チャバネゴキブリ駆除で缶タイプくん煙剤や固形ベイト剤を買う必要はないと思います。チャバネゴキブリの根絶にはあまり適しておらず、費用対効果(お金や手間)に見合わないためです。

駆除業者による施工は何が違う?

チャバネゴキブリの駆除では、単に強い殺虫剤を使えばよいわけではありません。重要なのは、どこに潜んでいるのかを推測し、ゴキブリが通る場所へ適切な薬剤を処理することです。

チャバネゴキブリの潜伏場所を推測する

目視調査・捕獲調査・ヒアリングをもとに潜伏場所を絞り込みます。経験に基づいて「どこを見るべきか」「どのように評価するか」を判断し、効率的な施工につなげます。

液体殺虫剤で活動範囲を広く処理する

業務用の液体殺虫剤は水で希釈して使い、ワンプッシュ型エアゾール剤では難しい広範囲へのしっかりした処理が可能です。チャバネゴキブリがどこをどう歩くかは予測が難しく、点や線ではなく面で処理することが早期駆除への近道です。

超遅効性薬剤で潜伏場所への持ち帰りを狙う

「死骸がたくさん出る」のではなく、「どこで死んだか分からないけど最近見なくなった」という状態になります。卵鞘を抱いたメスはほとんど営巣場所から出てこないことが多くの研究で明らかになっており、そこに有効成分を持ち帰らせることが重要です。

外部リンク:研究論文 J-STAGE『チャバネゴキブリの潜伏と活動』ペストロジー学会誌 12 (1) : 9 -13 (1997)金山 彰宏ら

チャバネゴキブリから自衛するために

チャバネゴキブリは人や物に付着して住宅に持ち込まれることがほとんどですが、隣家からの移動もあります。リスクの高い侵入経路があれば、対策をしておきましょう。

持ち込み対策

色々なお宅に訪問するお仕事をされている方は、チャバネゴキブリが増えているお宅に行くこともあるかもしれません。

自宅にチャバネゴキブリを持ち帰らないためには、まずカバンを専用のものに分けた方がよいでしょう。スーパーや百貨店の店員さんが休憩中にサイフなどを入れているビニール製のバッグなど、中身が見えて洗えるものが理想です。

着ている服や自家用車も確認してから帰宅しましょう。

隣家からの侵入対策

レアケースですが、お隣がいわゆる「ゴミ屋敷」だったりする場合、屋外からの侵入予防が必要です。

  • 建物外周に粒剤(ヤスデ用など)を散布する
  • 建物外周にゴキブリの潜み場所になるような物をなるべく置かない
  • 外壁のひび割れを塞いだり、床下通風口に防虫メッシュを付ける

よくある質問

駆除業者に依頼すると費用はどのくらい?

当店では、一般的な一戸建て住宅の台所・洗面所などを対象にしたチャバネゴキブリ駆除は、作業1回10,000円前後です。1カ月の間隔を開けた2回セットでの施工をおすすめしています。生息範囲が広がってしまっている場合や、外周を含める場合は追加費用がかかります。

駆除できるまでどのくらいかかる?

液体殺虫剤の使用に制限がなければ、1回施工後数日で終息することもあります。生息範囲が広がっている場合は、1回施工後にまだ見る・捕獲される場所を重点的に追加処置します。卵鞘から孵化してくる幼虫対策も含め、一戸建て住宅なら2~3カ月で駆除できるケースが多いです。

保証期間は?

当店では、施工前と比較して効果が全く感じられない場合には、施工完了後1カ月以内のお申し出に対して返金または無償にて追加施工を行っています。ゴキブリが0であることの保証期間の設定は極めて難しく、現在は行っておりません。ただ、多くのケースで大きな効果を感じていただいております。

子どもやペットがいるけど薬剤の安全性は?

基本的には人間など哺乳類への影響は低いものを使用しますが、全くの無害の殺虫剤は無いため、子どもやペットへの影響ができるだけ小さくなる方法をご提案します。使用予定薬剤の安全データシート(SDS)をもとに、LD50値などからも安全性のご説明をしています。

ピレスロイド系のエアゾール剤は使ってはダメ?

チャバネゴキブリを巣ごと駆除するには適していない、というだけで、目の前に出てきた個体を駆除するために使うのはダメではありません。使う場所や方法によってはチャバネゴキブリが奥に逃げ込んで営巣が続いてしまう恐れがあり、頻繁に目撃するようであれば駆除業者に早めに相談しましょう。

まとめ

チャバネゴキブリは駆除が難しい害虫ですが、適切な殺虫剤を正しく使えば根絶が可能です。

市販品を色々買ってきて試すよりも、駆除業者に依頼した方が安く・早く解決できる可能性もあります。

チャバネゴキブリでお困りでしたら、お早めにご相談ください。

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