この記事では、ネズミ駆除で使われる主な資材について、メリット・デメリットと使い方のポイントをまとめています。各対策記事からの補足としてご活用ください。
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当記事で紹介する資材・機材
- 粘着シート
- 殺鼠剤
- 捕獲カゴ
- バネ式捕獲器
- センサー式捕獲器
- 赤外線カメラ
駆除資材(セルフ駆除でも使いやすいもの)
お客様ご自身で使うとしたら、次のようなものがよいですよね。
- 安全に使える
- 手頃な価格
- 手軽に買える
- 処分に困らない
具体的に見ていきましょう。駆除業者もメインでよく使います。
粘着シート
ネズミ駆除の基本となる捕獲資材です。厚紙に粘着剤(化学のり)が厚く塗布してあります。
粘着シートのメリット
死骸を確実に回収できる。安価、安全、大量かつ長期間使える。捕獲されたネズミごと燃えるゴミで処分できる(自治体ルール要確認)。運がよければ1枚で数匹捕まる。ホームセンターやネットショップでも手に入る。各商品のちがいがそれほどなく選択に迷わない(耐水性の有無くらい)。
粘着シートのデメリット
「たまたま捕まる」のを待つしかない(エサを置いても難しい)。人が踏んでしまう。捕まったネズミが暴れて周りのものをかじる。ネズミの足の裏が汚れていたり、水や油が付いていると数歩は歩けてしまう。捕まっても暴れて逃げてしまうことがある。
粘着シートの使い方のポイント
粘着シートは「運」(カッコ良く言うと「確率」)で捕獲するものです。設置枚数が少ないと捕獲できる確率が下がり、捕獲されなかったネズミが粘着シートの危険性を学習し、さらに捕獲できなくなる悪循環に陥ります。出し惜しみせず最初から、むしろ最初だからこそ多数設置すると効果的です。賢いネズミは粘着シートのふちを歩いたり、くわえて動かし、通っていきます。
ネズミが来そうな場所(かじられることが多い食品など)、通りそうな場所が分かれば、そこに集中して置きましょう。置くべき場所が分からなくても、「ネズミかな?」と思った初期の段階で、夜中にあちこち置いてみると早々に捕まるケースもあります。枚数の目安はご家庭や店舗で20~30枚、食品工場なら50~100枚程度です。ネズミは夜行性ですから、昼間は一度片付けて、夜中だけ大量に置いた方がよいです。
※枚数は広さや現場状況によります。けっこう多いな、と思うくらいです。
場所や枚数、置き方に迷う場合は、お気軽にご相談ください。
殺鼠剤
食べさせて駆除します。人にも危険があるため、殺鼠剤は使わないという選択肢も検討してください。
殺鼠剤のメリット
駆除できるネズミの数が多い。混ぜた食べ物でネズミを誘引(おびき寄せ)できる。使った方が駆除は早く進む。
殺鼠剤のデメリット
ネズミがどこで死ぬか分からず、回収できなかった死骸から異臭やハエが発生する可能性がある。人間にも毒であり取り扱いには十分な注意が必要。ネズミが巣に運ぶ途中で別の場所に落とす可能性あり。ネズミがなかなか食べないことがある。有効成分によってはネズミが抵抗性を持っていて効かないことがある。放置しておくとカビたり虫の発生源になりやすい。
殺鼠剤の選び方のポイント
駆除効果と安全性のバランスが大事です。「抵抗性ネズミにも効く」と書いてある「ジフェチアロール」製剤や急性殺鼠剤は、駆除効果は高い一方、人への危険性も高まります。「ワルファリン」など従来型の成分は、抵抗性を持つネズミが増加しています。また、1週間ほど連続摂取が必要で、駆除効果はやや下がります。ただ、それは人や動物に対する安全性が高い、とも言えます。安全に使用できるなら駆除効果を優先し、不安があるなら安全性を優先して選ぶ、もしくは、そもそも殺鼠剤を使わないようにしましょう。
殺鼠剤はホームセンターやネットショップでも手に入り、業務用と成分などは基本的に同じです。家庭や店舗で使用する場合は「医薬品」または「医薬部外品」に分類されている製品を選びます。農薬や動物用医薬品は用途が異なるため使用できません。
殺鼠剤の使い方のポイント
安全な使い方
毒餌だと分かるトレーなどに必ず入れます。高い所に置くとネズミがトレーをひっくり返すことがあります。天井裏に置く場合も、点検口のすぐ横には置かない方がよいです。乳幼児や犬や猫などペットと暮らしているなら殺鼠剤は使わないか、もし使うなら100%絶対に乳幼児やペットが行かない場所(天井裏など)にだけ置いてください。
ネズミはエサを巣に持ち帰る習性があり、運ぶ途中に落とすなどして意図しない場所に殺鼠剤が移動することがあります。そういう意味でも、特に乳幼児やペットがいる場合は室内に殺鼠剤を置かない方がよいです。店舗や事務所で使う場合も、そうしたリスクを考慮して殺鼠剤や混ぜるエサの大きさ・形状を選びましょう。
どうやって食べさせるか
ネズミが好きな食べ物はネズミの種類だけでなく、現場、個体、タイミングによって様々です。手を変え品を変え、試すしかありません。食品と混ぜる場合は、保存性や殺鼠剤との混ざりやすさなどを考慮して工夫が必要です。
ネズミはどこで死ぬか
殺鼠剤を使うか否かの検討では、死骸を回収できなかった場合のリスクも大きな要素です。結論から言うと、どこで死ぬかは分かりません。「明るい場所で死ぬ」などとも言われますが当てになりません。回収できるかどうかは「運」と設備的な条件(天井点検口の位置や数など)によります。
死骸が回収できないと異臭や大型のハエが出ることがあります。対症療法になりますが、ハエが出たら捕虫器(紫外線ランプで誘引し粘着シートで捕る)を臨時で置いて捕獲します。異臭はネズミ死骸用の消臭剤があります。
特にネズミがすでに増えてしまった現場では、殺鼠剤は強力な駆除ツールです。捕獲だけでは時間がかかり、時間がかかれば繁殖してまた増えてしまいます。死骸が回収できないリスクは無視できませんが、殺鼠剤を使わずに駆除が進まないリスクと比較してご検討いただければと思います。
捕獲カゴ
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中のエサで誘い込み、捕獲します。エサを吊り下げたフックを動かすと戸が閉まります。
捕獲カゴのメリット
安全性が高い。捕獲した後に逃がすことができる。繰り返し使える。屋外でも使いやすい。
捕獲カゴのデメリット
警戒心が高いネズミはあまり捕まらない。捕獲したネズミが自由に動くため処分に困る。固形のエサしか使えない。1匹捕まると再セットするまで次を捕まえられない。
捕獲カゴの使い方のポイント
安全性は高いですが、経験的には捕獲効率は他の捕獲器にやや劣るように思います。特に、問題のネズミがクマネズミかドブネズミか分からない初期には、捕獲カゴだけで対応すると長期化してしまう可能性があります。用途を限定し、屋外でドブネズミを少しでも減らしたい、という場合などに使うと役立ちます。
駆除資材(主に駆除業者が使うもの)
安全な使い方を知っていれば、駆除効果が高い資材や、特殊な機材も使えます。
ネットショップで入手可能ですし、当方からも販売可能です。ご興味があればお問合せください。
バネ式捕獲器
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真ん中に設置したエサを取ろうとした時に仕掛けがはずれ、バネの力で捕獲します。
バネ式捕獲器のメリット
エサで誘引できる。殺鼠剤などと混ぜずにそのまま置けるため誘引しやすい。しっかりと挟み込み逃げられることが少ない。繰り返し使える。
※写真の捕獲器は、手前の板に体重をかけると仕掛けが発動する「感圧タイプ」です。捕獲カゴのように引っかけたエサを動かすと発動する「引っかけタイプ」もあります。「感圧タイプ」はエサを手に取らなくても、体重をかけただけで発動するため成功率が高いです。その分、危険です。
バネ式捕獲器のデメリット
取り扱いがかなり危険。1匹捕まると再セットするまで次を捕獲できない。捕獲された死骸の処分を嫌がる人が多い。ほぼ即死に近いため腐敗が早い(点検頻度を増やす必要あり)。※鹿児島は高温多湿な地域で腐敗がさらに早い可能性あり
バネ式捕獲器の使い方のポイント
安全に使うことが最優先で、基本的には鍵付きの専用プラスチック箱に入れて使います。ただ、箱に入れると警戒されて、一発勝負では失敗する可能性が高いです。一発勝負で使う場合は、人が立ち入らない場所・日時を明確にし、設置時に記録をとって回収漏れがないようにします。天井裏などに置くときも、工事業者が入ることなどを想定して安全に最大限配慮する必要があります。
クマネズミには警戒されることが多く、最初は罠を開かずにエサだけを置き、エサを食べるようになったら罠を開くと捕獲しやすいです。
センサー式捕獲器
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半円のセンサー部を通ると捕獲される ※ややショッキングなため捕獲写真はカット |
半円形のセンサー部をネズミが通ると、バネの力で横から捕獲します。
センサー式捕獲器のメリット
感圧タイプのバネ式とはちがいネズミのアクションが不要。箱やオリに入らず、地続きで歩いているだけで捕獲できる。学習して警戒心が高くなった「最後の生き残り」ネズミにも有効。設置方法次第でエサで誘引できる。しっかりと捕らえるため逃げられることが少ない。繰り返し使える。
センサー式捕獲器のデメリット
取り扱いが大変危険。1匹捕獲すると再セットするまで次を捕獲できない。床が汚れる可能性がある。これ単体では有効な設置が難しく準備が必要。機器が高価。
センサー式捕獲器の使い方のポイント
駆除資材の危険性を学習した「最後の生き残り」を捕獲するのに有効です。賢くなるとバネ式捕獲など新しいものに「足を乗せる」ことに警戒心が高まり、箱型の罠にはほぼ入らなくなります。このセンサー式捕獲器は地続きで通れるため、警戒心をあまり刺激しません。
取り扱いが危険などデメリットがあり、ここぞ!という時だけ慎重に使います。
赤外線カメラ
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赤外線センサーでネズミが写った時だけ撮影・保存します。行動時間や移動経路を把握するために使用します。
※温度差を検知して動く仕組みで、温血動物ならネズミ以外でも撮影します。一般的な赤外線カメラは鹿や熊などの野生動物を撮影するもので、ネズミという生き物を検知しているわけではありません。食品工場向けツールとして、AIでネズミだけを検出できるシステムもあります。
外部リンク:AIカメラでネズミを自動検出 リアルタイムIoTモニタリングシステム Pest-Vision
赤外線カメラのメリット
コードレスで設置がかんたん。暗闇でも撮影できる。捕獲やエサの喫食などがない時に生息状況の確認ができる。タイマー設定で無人の時間帯だけに設定できる。
赤外線カメラのデメリット
振動や気流などでネズミがいなくても撮影されることがある。反応速度などにより一部始終が撮影できるわけではない。安くても数千円はする。撮影ファイルが多いとチェックが大変。
赤外線カメラの使い方のポイント
何を撮影して、どう評価するかという、撮影の目的を明確にすることです。ネズミで困っている状況で何となく部屋に設置してネズミが写っても「ネズミがいる」としか分からず、それは最初から分かっていることです。
「室内に出てきている穴がこれかどうか知りたい」
「室内だけにいるのか、天井裏も活動範囲なのか知りたい」
「捕獲も目撃もなくなったが、まだ天井裏にいるのか知りたい」
などの、赤外線カメラ以外では知り得ないことを知り、「だからこうする」と次に進むために使います。
駆除以外のネズミ対策について
当記事では、「ネズミを駆除するために」という視点でご紹介してきました。
ですが、根本的な解決のためには、次のような環境整備も重要です。
- ネズミが寄ってこない環境
- ネズミが侵入してこない環境
- ネズミが定着しない環境
本来であればこうした環境整備こそがネズミ対策であり、駆除はやむを得ない時に最小限で実施するものです。人間の健康管理で言えば、「悪くなってから薬を飲めばよい」ではなく、病気にならないような生活習慣が望ましいですよね。現実的には難しいですが…。環境整備については、また別の機会に詳細に触れたいと思います。
環境整備を含めた総合的なネズミ対策・害虫対策の考え方についてはこちら
関連記事:モヤモヤから脱出!効果的な害虫対策の考え方【IPM】
まとめ
ネズミは捕獲がメインになりますが、難しい場合は殺鼠剤も併用します。どの資材を使う場合でも、駆除効果だけでなく、安全性も十分考慮してご使用ください。
ご自身でネズミ駆除する場合はもちろん、駆除業者に依頼する場合でも、道具のメリット・デメリット・使い方を知っておくことは重要です。知識があれば悪徳業者を見抜くこともできます。
ご家庭で、お仕事で、活用してみてください。
各対策記事とあわせて、状況に応じた資材選びの参考にしていただければと思います。
ではまた!








