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カベアナタカラダニ 駐車場

春になると、建物の外壁やベランダ、駐車場などに赤い小さな虫が大量に現れることがあります。これはタカラダニというダニの仲間で、細かな種類はいくつかありますが、日本の住宅周りで見られるものの多くは「カベアナタカラダニ」です。当記事では、カベアナタカラダニの生態や危険性、対策について解説します。

最初に申し上げておきますと、ご自宅の外壁に大量発生していて「今すぐあの赤いダニを駆除したい!」という場合は、水で流す方法が最も手軽で即効性があります。

カベアナタカラダニとは

4月初旬、鹿児島市の住宅街でもタカラダニが発生し始めました。駐車場周りのコンクリートをよく見ると、赤い小さな生き物が何匹も歩き回っています。

駐車場ブロック カベアナタカラダニ 駐車場1 カベアナタカラダニ 駐車場2 カベアナタカラダニ 駐車場3

 

この正体がカベアナタカラダニです。見た目のインパクトから「危険な虫ではないか」と不安に感じる方も多いですが、結論から言うとカベアナタカラダニは人に直接的な健康被害を与えるダニではありません。ただし、発生数の多さや製品への混入リスクなどから、住宅だけでなく工場や施設においても対策が求められる不快害虫です。

顕微鏡で拡大するとこんな感じです。

カベアナタカラダニ 拡大20倍 カベアナタカラダニ 拡大40倍

カベアナタカラダニの生態

屋外に生息する赤いダニ

カベアナタカラダニは体長1mmほどの赤いダニの仲間で、主に屋外で生活しています。コンクリートやモルタルなどの外壁表面を好み、日当たりの良い場所で活発に動き回るのが特徴です。人を刺したり吸血したりすることはなく、室内に定着することもほとんどありません。そのため、人に健康被害を与える「衛生害虫」とは異なり、主に見た目や発生数により人に不快感を感じさせる「不快害虫」の一種です。この生き物が大量発生しているところを初めて見た方は、得体のしれない不気味さを感じてもおかしくありません。

※ダニは厳密には昆虫に分類されない生物ですが、当記事ではイメージしやすさを優先して「虫」と呼ぶこともあります。

発生時期と季節性

このダニがよく見られる時期は4月から6月頃で、特に5月前後に発生のピークを迎えます。冬の間に産み付けられた卵が春の気温上昇とともに一斉に孵化するため、短期間に大量発生するのが特徴です。鹿児島は温暖な気候のため、もう少し早い時期かもしれません。一方で、梅雨以降の高温多湿な環境や真夏になると急激に数が減少し、秋以降はほとんど見られなくなります。このように発生時期が比較的限定されていることも、カベアナタカラダニの特徴の一つです。

食性(花粉が主な栄養源)

カベアナタカラダニの食性については、学術的にも研究がなされており、主に花粉を栄養源としながら、小型昆虫なども摂取する雑食性であることが分かっています。実際の研究では「花粉および小型昆虫を摂食する」と報告されており、特に花粉の寄与が大きいことが示されています(応用動物昆虫学会誌)。

参考文献(※J-STAGE掲載論文):
高倉耕一ら(2008)「カベタカラダニの食性に関する研究」応用動物昆虫学会誌 52(2), 87-94
https://www.jstage.jst.go.jp/

外部リンク:学術論文オンラインプラットフォーム J-STAGE

ヒエガエリ

この論文でも「ヒエガエリ」という雑草の花粉を取り上げているように、花粉と言ってもきれいな庭園や花畑が必要なのではなく、どこにでもある空地や山野に生えている雑草の花粉も十分な発生源になります。アブラムシのようにその植物自体に大量に取りつくことはほとんどないようです。

このことから、発生はタカラダニが餌とする特定の害虫の多さではなく、周辺環境から飛来する花粉や環境条件に強く依存していると考えられます。

 

発生場所の特徴

カベアナタカラダニがいた駐車場発生場所としては、建物の外壁やベランダ、屋上、駐車場、窓枠周辺などが挙げられます。特にコンクリートのように表面がザラついていて微細な隙間がある場所を好みます。また、日本全国に分布していますが、都市部やマンション、工場などの人工構造物が多い環境で目立ちやすい傾向があります。

日当たりのよいコンクリートなどに付着する花粉を主に食べているため、端的に言うと「どこにでもいる虫」です。その建物に原因があるわけではない場合がほとんどです。

 

カベアナタカラダニの被害

健康被害はあるのか

カベアナタカラダニは人を刺さず、吸血もせず、室内に定着することもありません。そのため、ヒョウヒダニのようにアレルギーの原因になることもほとんどなく、人への直接的な健康リスクは極めて低いダニです。

ただし、人によってはタカラダニを潰した時に出る赤い体液で、まれに皮膚に発疹や痒みが出るケースもあります。毒はありませんが、万が一体液が皮膚についてしまったら早めに洗い流しましょう。

暮らしの中での主な問題

日常生活において問題になるのは、赤く目立つ外見と大量発生による不快感です。また、潰すと出る赤い体液が壁や床、衣類にシミを残すことがあり、これもかなりの不快感です。つまり、実際の被害は「衛生被害」ではなく「視覚的・心理的な不快感」が中心です。不快感だけとはいえ、初めてタカラダニの大量発生を目の当たりにした方は、かなりの不気味さを感じたのではないかと思います。

 

製造業におけるリスク

特に製造業においては注意が必要です。紙製品、衣類、ビニール製品などを扱う工場では、カベアナタカラダニが製品に混入したり、潰れて汚損を引き起こしたりすることで品質トラブルにつながるリスクがあります。数が多いため一見軽微に見えても、重大なクレームへ発展する可能性があります。サイズが1mm程度と小さく、活発に動き回るため、壁や屋根、出入口のわずかな隙間から侵入し、製造ラインの上から落ちてきたり、保管中の半製品や包材に混入することもあります。昨年タカラダニが多く見られた工場では、今年も同じようになる可能性が高いです。ピークを迎える前に対策をご検討ください。

他のダニとの違い

他のダニと比較すると、その安全性はより明確になります。ヒョウヒダニは室内で増殖し、フンや死骸がアレルギーの原因となります。イエダニはネズミなどに寄生して人を吸血し、マダニは野外で重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)のような大変危険な感染症を媒介することもあります。これらと比べると、カベアナタカラダニは人に対する直接的な健康リスクがほとんどない、不快なだけの害虫と言えます。カベアナタカラダニとヒョウヒダニ・イエダニ・マダニの違い比較表

カベアナタカラダニの対策

やってはいけない対処

カベアナタカラダニ 潰れた体液カベアナタカラダニ対策で注意すべき点は、潰してしまうことです。潰すことで赤いシミが広がり、かえって被害が拡大します。

なお、タカラダニはやわらかい虫で、潰すつもりはなくても簡単に潰れてしまいます。拭いたり払ったりする際には、優しくしてあげてください。

 

 

水による除去(基本対策)

最も効果的で現実的な方法は、ホースや高圧洗浄機などで水をかけて洗い流すことです。速効性があり、安全性も高いため、日常的な管理として有効です。

 

 

清掃による環境管理

外壁や床面の清掃によってコケや汚れを除去することも対策の一つです。ただし、主なエサである花粉は外部から飛来するため、清掃だけで発生を完全に防ぐことは難しく、補助的な対策と位置づけられます。

殺虫剤による対策

市販のエアゾール剤のような速効性の殺虫剤は、目の前にいる個体を駆除するのに有効です。また、窓の構造的なわずかな隙間から室内に侵入してきているという場合も、市販エアゾール剤をサッシに吹き付けておくことで、一定の駆除および忌避効果が期待できます。市販のエアゾール剤は1本当たりの内容量が少なく、噴射距離も比較的短いため、局所的な使用には適していますが、広範囲への施工には不向きでしょう。

一方、残効性のある液体殺虫剤や忌避性のある塗料を外壁に処理することで、エアゾール剤よりも広範囲に、長期的な殺虫・忌避効果が期待できます。特に大発生前の春先に実施することで、ピーク時の大量発生を抑えられます。ただ、日当たりがよい場所に多いというタカラダニの特性上、薬剤もそういう場所に散布することになりますが、雨や夜露による流出に加えて、太陽の紫外線で有効成分の分解が早くなることが予想されます。効果がどのくらい持続するかは現場環境や天候などに左右されてしまうと思います。

◆タカラダニ対策ができる商品例(アフィリエイトではなく純粋な商品紹介です)

外部リンク:楽天 不快害虫用ピレスロイド系エアゾール剤 フマキラー プレミアム 550ml(YouTubeにタカラダニへの効力実験動画あり)

外部リンク:楽天 防虫塗料 歩行性昆虫侵入対策塗料 ネイテクノシトロネン

自然豊かな鹿児島で川遊び(※以下、薬剤に関するやや専門的な内容を含みますがここでは詳細説明は省略します。具体的にご検討される際はお問合せください)

なお、液体殺虫剤を用いる場合、環境への影響が少ないものを選びましょう。鹿児島は河川や用水路、田畑が多いこともあり、魚毒性の高いピレスロイド系の有効成分を含む薬剤を屋外に大量散布するのは控えた方がよいと思います。特定外来生物のアリ対策でも屋外使用されるフェニルピラゾール系か、どうしても速効性が必要な場合は、魚毒性が低いピレスロイド様のエトフェンプロックス製剤の使用をおすすめします。加えて、ある程度の長期間の効果を期待するのであれば、剤型は水性乳剤よりも成分が表面に残りやすいフロアブル剤をおすすめします。また、液体殺虫剤で外壁が変色してしまうことがあります。建物の見た目も大事にされる場合は、事前に目立たない箇所で試した方がよいでしょう(薬剤選定・施工方法はご相談ください)。

※対象害虫に「タカラダニ」と明記してある殺虫剤はあまり多くないかもしれません。「不快害虫用」として幅広い虫を対象に使えることが書かれていれば、タカラダニに対しても効果が出る可能性は高いです。厳密には、対象害虫に記載されていない虫への使用は適切とはいえません。使用の際はラベル表示や使用方法をよく確認し、お客様ご自身の責任のもとで判断してください。ただし、「農林水産省登録第○○○○○号」と書かれているような農薬は、農薬取締法で厳しくルールが定められており、決められた通り正しく使う必要があります。建物のタカラダニ対策であれば、農薬ではなく不快害虫用をご使用ください。

粘着トラップによる捕獲・侵入防止

カベアナタカラダニ対策 業務用樹脂製トラップ(小)窓の隙間などから室内に侵入してきて困る場合、薬剤だけでなく、粘着トラップで捕獲する方法もあります。市販の紙製ゴキブリ用粘着トラップだと床や出窓などの設置面から浮いてしまう場合は、業務用の樹脂製トラップを使ったり、マスキングテープと両面テープを組み合わせた粘着トラップを作ってもよいと思います。床などの水平面だけでなく、窓サッシの垂直面に貼っても有効です。

カベアナタカラダニは飛ばずに歩いています。そのため、部屋の居住空間に入ってこないように移動経路を粘着トラップを設置すれば、タカラダニの被害は最小限に抑えられます。タカラダニを誘引するのは難しいため偶発的な捕獲を期待する形になりますし、粘着面に他のものが付いてしまったりなど不便もあると思いますが、タカラダニが多い時期は長くありません。少し我慢しながら工夫してみましょう。「殺虫剤を自分の部屋の中で使いたくない」という場合、捕獲は安全で良い方法です。

もちろん、窓の隙間などから入ってこないように物理的に閉塞するのがベストです。しかし、タカラダニは体が非常に小さく、一般的な引き違い窓に構造的にできてしまう隙間を完全に密閉して侵入を防ぐのは困難です。入ってきてしまう可能性がゼロではないことを前提に多段的な対策を講じて、不快感を軽減させていきましょう。

※業務用の樹脂製(ポリプロピレン)粘着トラップは販売可能です。お問合せください。

対策の難しさ

カベアナタカラダニは毎年5月頃になると日本中で大発生しています。発生している建物に特別な問題があるわけではなく、対策をしても、しばらくすると近隣から移動してきてしまう可能性がある、再発リスクが高い害虫です。そのため、周辺環境から駆逐してゼロにしようとすれば、屋外で殺虫剤を過剰に使用することにつながりかねず、ある程度は「自然との共存」という考えも必要です。

まとめ

突然の大発生に驚かれた方もいると思います。カベアナタカラダニは春に屋外で大量発生するダニですが、人への健康被害はほとんどありません。しかし、見た目のインパクトや発生数の多さ、さらには製造業における異物混入や製品汚損のリスクから、適切な対策が求められます。基本は水による除去や清掃といった物理的・環境的対策であり、必要に応じて殺虫剤を組み合わせることで、不快感を許容範囲内に抑える管理が可能になります。

「結局、水で流すだけか」とがっかりされた方がいたら申し訳なく思います。ただ、根本的な解決が難しく、毎年やってくる台風をやり過ごすのと同じように、自然の脅威を受け流す気持ちも持って赤い小さな虫を見ていただけたらと思います。

  • 外壁一面に大量発生していて、水で流すことが難しい
  • 市販殺虫剤による対策で効果が出ない
  • 工場で混入クレームまたはリスクがある

このような場合はご自身での対策には限界があり、専門的な対応が必要です。お気軽にお問い合わせください。

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ではまた!